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(非日常を日常にするには、日常を非日常にする事である)
偶然手に取ったその本の教えに従い、僕はこれまでの平凡な日常を非日常にするために努力した。
いつも右に曲がる道を左に曲がった。AランチをBランチにした。エレベーターじゃなく階段で上がった。
そんな事を毎日続けていると、ある日道を尋ねられた。綺麗な女性だった。僕の対応が良かったのか、女性は僕と連絡を交換したがった。
やがてその人と付き合うことになり、結婚し子供が産まれた。
彼女と出会ったのも、日頃通らない道、非日常を求めたが故の功績だった。
でも、功績と呼べた時期はそう長くなかった。
「ちょっと!たまには出かけたら?家にいられるとイライラする」
妻の罵声が飛ぶので外に出た。自然と溢れるため息。
結婚なんて夢のまた夢の非日常だと思っていたあの頃が懐かしい。僕は今思う。もう一度、今の自分の非日常を探して、あの頃の日常を取り戻したいと。
その他
公開:21/09/24 08:21

セイロンティー( Cherry Blossoms island の傍 )

初めまして。昔から小説を書くのが好きでした。ショートショートの魅力に取り憑かれ、日々ネタ探しに奔走する毎日です。
小説のコンセプトは【ドアノブの静電気くらいの刺激を貴方に】です。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

※ツイッター先にて小説家になろうへのリンクあります。そちらで長編ミステリーコメディーを書いています。よろしければ、こちらもよろしくお願いします。

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