あの夏の君へ

あの暑い夏の日。
気づいていたよ。
君が何かを見つけたことを…

部活帰りはいつも二人で帰っていた。
君は「暑いね」って言いながら瓶のラムネを飲むんだ。
いつもしょーもない話をして時間が過ぎる。

いつまでも変わらないと思っていたのに…

永遠に続くと思っていたよ。
いつからかな。
君と帰るあの時間を切なく感じ始めたのは。

あの日、口にしたラムネを溢した君。
それは歩いていた線路の上に落ちて君の足元で蒸発した。
スニーカーの紐なんてめんどくさいって縛ってなかったのに。
いつからかしっかり結ばれた靴紐。

いつまでも一緒にいられると思っていたのに…

いつまでもこの場所で同じ夢を見てるものだと思っていた。
けど君は見つけたんだ。

……違う夢を。

君は今、スタートラインに立ったんだ。
だからその瞬間まで、
もう少しだけ、君の隣で……