ベースはカッコよく

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ミクって、ベース弾ける?

当時好きだった彼から声をかけられて、緊張した私は、何も答えられなかった。私のいたガールズバンドのギターが、やってみたい、と答えていた。
…私は悔しかった。

悔しくて悔しくて、堪らなかった。
私はその想いを、ベースにぶつけた。人並み程度にはベースを弾けたが、私は感情をベースに叩きつけるように、スラップの練習に妄執した。
スラップとは、弦を指で叩いたり弾いたり、打楽器のような音をベース音と同時に鳴らす高度な奏法だ。
あの日以来、私のいたバンドは自然消滅。指をボロボロにして得たスラップは、誰の目にも触れる事は無かった。
今日までは。

ミクって、ベース弾ける?

まさか、彼から同じ言葉をかけられるとは思わなかった。
リズムに乗せて、ベースに乗せて。
私は想いのままに、セッションする。
…あの日より、カッコ良くなれたかな、私は。

え?鰹節?
…まぁ、好き、だけど。
青春
公開:21/09/24 18:00
更新:21/09/23 08:00

お弁当係

2021年7月、投稿開始。
小説を読むのが好きですが、書くのも楽しそうで始めてみました。
読んでいただければ幸いです。
 

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