幻の社員

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幻の社員と言われている男がいた。私は彼を見た事はない。彼の同期という社員が20年ほど前にチラッと見かけたのが最後とされている。だか、それすらも本当かどうか怪しい話だった。しかし、彼の痕跡はたまに見つかる。足跡、火を起こした跡。藁などで作ったと思われる寝床の跡。調査隊が結成されて社内を探した事もあったが彼は見つからなかった。やはり実は本当は元々そんな人間などいない。みんながそう思っていた。しかし、ある日、何十年も誰も使っていなかったホコリだらけのデスクに突如、封筒が置かれた。そこには「退職届」と書いてあった。社員みんなが驚いた。そして、口を揃えて言った。「本当にいたんだ。」
ミステリー・推理
公開:21/09/22 10:15

ソフトサラダ( 埼玉 )

時折、頭をかすめる妄想のカケラを集めて、少しずつ短いお話を書いています。コメントは励みになります。

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