ねずみ花火だよ!クチオノ君

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「クマ、待ってよ。」
振り向くと、背の高いクチオノ君が嬉しそうに手を振って僕の方へ向かっていた。
休み時間にドッジボールをする約束をしていた。
クチオノ君は運動神経抜群で足も速かった。
ドッジボールも凄くうまい。
今日はやけに張り切っているようだ。
クチオノ君は、一年中半袖半ズボンである。
今どきの小学生には珍しいかもしれないが、膝下のやや薄汚れた白い靴下がお気に入りである。
そんなクチオノ君はおっちょこちょいである。
全速力でこっちに向かってくるクチオノ君。
半ズボンなので、左右の大腿筋の躍動感が凄い。
左足がやや内側に入る。
次に、右足がその内側に入った左足に引っかかる。
さすがのクチオノ君も手が間に合わない。
廊下の床に顔からダイブ。
勢い良く鼻血が噴出し、痛みで海老のように丸まって高速回転するクチオノ君。
「わぁ、まるで、ねずみ花火だ。」
私もつい、口から噴出してしまった。
その他
公開:21/09/20 09:00

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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