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気持ちのいい秋空の下、私はジョギングを楽しんでいた。
早朝の秋の空気はとても清々しく肺に入れるだけで身も心も爽やかになる気がした。
田植え間近の田んぼ道、みかん色のコスモスが咲き乱れる農道を走り抜ける。
爽やかな汗が滴る。その汗を受け止めるTシャツは我が社のロゴ入り。社長たるもの常に社の宣伝は欠かさないのだった。
ジョギングの目的地である自販機に着いた。ここで飲む缶コーヒーがまた旨い。
「え?しまった」
私は絶句した。荷物になるので100円だけを握りしめて来たのだが、コーヒーは110円だった。勘違いしていた。
困り果てる私に農家のおじいさんが何事かを訪ねてきた。私は恥ずかしながらも事情を話す。するとおじいさんは快く10円を手渡してくれた。
爽やかな人情に私は救われた。
後日、我が社に封筒が。見ると先日のおじいさんからの10円の督促状が。しかも利子付きで。
何でも爽やかにはいかないものだ。
その他
公開:21/09/20 08:25
更新:21/09/20 11:46

セイロンティー( 鹿児島 )

初めまして。昔から小説を書くのが好きでした。ショートショートの魅力に取り憑かれ、日々ネタ探しに奔走する毎日です。
小説のコンセプトは【ドアノブの静電気くらいの刺激を貴方に】です。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

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