浮腫み

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ふしゅー、ふしゅー。
夜中、私はその音が気になり、なかなか寝付けなかった。音だけではない。首筋にずっと生暖かい息を吹き掛けられているような感覚もあった。
翌朝、体の怠さと重さで目を覚ます。何か変だなと思った私は姿見鏡を見た。
「なに、これ」
私の体は一回り大きくなっているほど、全身浮腫んでいる。これは異常事態だ、と病院へ駆け込んだ。

「妖怪ふしゅー、ですね」
「妖怪……ふしゅー?」
オカルト好きそうな顔をした医者が、にやけ面を浮かべながら言った。
「ふしゅーと息を吹き掛けるだけの妖怪ですよ」
だけ、とは何だ。私の体の浮腫みを説明しなさいよ。
「妖怪ぷしゅーを処方しておきます」

ぷしゅー、ぷしゅー。
昨夜とは少し違う音。鼻にかかる息は酒臭い。その臭いに酔っ払ったのか、深い眠りについた。
翌朝、私の体はぷしゅーっと萎んでいた。姿見鏡の前で、萎んだ体を見ながら呟いた。
「シワシワじゃん……」
その他
公開:21/09/19 13:00
むう×サル

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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