素晴らしき10月

「いや～、やっぱり、10月は良いよね。全国の八百万の神々が一斉に出雲に集結するんだから」

「いやいや、どこが良いんだよ。この神宮にこんなに神が集まったら密になるじゃないか。人間がソーシャルディスタンスを厳格に守っているのにその上の存在の我々がそれを破ったら下の者に示しがつかないじゃないか。それにさっき幹事が飲酒は午後8時までって言っていただろ。以前のように酔いつぶれるまで飲めないんだぞ。はぁ～、生きずらい世の中になったものだ」

「でも、まあ、一年に一度の事なんだからそこは融通を利かして」

「何を言っているんだ。ここに集まっている神のほとんどは老人なんだぞ。何か起きても、ベットやワクチンを急には用意できないぞ」

「そこは神と言う事で人間に優先接種させて貰えばいいじゃないか」

「馬鹿。そんな事をしたらマスコミの格好の餌食になるじゃないか。ほら、噂をすれば」

「カッコー、カッコー」