枯れ井戸スコープ
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入るな危険、と書かれた柵の向こうに枯れ井戸があった。
ある日、柵の隙間を抜けて一人の子供がやって来て、何だろうと井戸を塞ぐ板の上に上った。ひどく痩せていたので、上に乗っても大丈夫だった。
そして、真ん中の小さな穴から中を覗いた。
子供がそれを見るのは人生で二度目だった。一度は図工で万華鏡を作った時。
無限に広がる綺羅綺羅と眩い世界。瞬きをすると井戸の中の景色も変わる。
毎日、同じ服で子供はやって来た。
井戸の中は相変わらず美しかった。
「あっちに行ってみたい」
ふと子供がそう言った途端、音を立てて板が割れ、子供の体は井戸の奥へと吸い込まれていった。
子供は消えたが、大人は「どうせ一人でどこかにいるだろう」と、誰も探さなかった。
数年後、開けられた井戸は空っぽだった。
子供は何処に行ったのか。
そもそも、子供なんていたのか。
誰も知らないし、興味も無かった。
ある日、柵の隙間を抜けて一人の子供がやって来て、何だろうと井戸を塞ぐ板の上に上った。ひどく痩せていたので、上に乗っても大丈夫だった。
そして、真ん中の小さな穴から中を覗いた。
子供がそれを見るのは人生で二度目だった。一度は図工で万華鏡を作った時。
無限に広がる綺羅綺羅と眩い世界。瞬きをすると井戸の中の景色も変わる。
毎日、同じ服で子供はやって来た。
井戸の中は相変わらず美しかった。
「あっちに行ってみたい」
ふと子供がそう言った途端、音を立てて板が割れ、子供の体は井戸の奥へと吸い込まれていった。
子供は消えたが、大人は「どうせ一人でどこかにいるだろう」と、誰も探さなかった。
数年後、開けられた井戸は空っぽだった。
子供は何処に行ったのか。
そもそも、子供なんていたのか。
誰も知らないし、興味も無かった。
ファンタジー
公開:21/09/20 12:03
更新:21/10/12 18:45
更新:21/10/12 18:45
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tamanegitarou1539@gmail.com
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