感情の誕生

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彼には感情がなかった。というか感情という物の意味が解らなかった。彼は何を見ても別に何も思わなかった。皆が面白いと言うお笑いを観ても何も思わない。悲しくて泣いてしまうと言う映画を観ても何も思わなかった。子どもの時、クラスで飼っていたニワトリが死んだ時もクラスメイトは皆泣いていたが彼は何も思わなかった。そんな彼は周り人間からも少し浮いていてイジメられることもしばしあったが、彼はそんな事にも何も思わなかった。そんな彼は大人になり一人の女性と出会う。彼女は彼に「あなたって少し変わってて面白いね」と言った。彼は少し考えて「ありがとう」と言って笑った。彼に感情が芽生えた瞬間だった。
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公開:21/09/20 11:33

ソフトサラダ( 埼玉 )

時折、頭をかすめる妄想のカケラを集めて、少しずつ短いお話を書いています。コメントは励みになります。

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