女王タブレット

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自習時間なのに、教室が騒がしい。
とてもじゃないけど集中できない。
中学生になると、みんなが大人になると思っていたのに、そんなことはなかった。
かという私は私で、引っ込み思案で空気みたいな存在。こういう時に行動できないし、昔から何も成長できていない。

「そういえば」

私は鞄の中に入れていた、タブレットを取り出した。ただのブレスケアとは思うけど、『一粒食べると女王のような振る舞い』という一文が気になって買ったのだ。
そんなはずないと思いつつ、一粒だけ食べることにした。普通のミント味のタブレット。
ほら、やっぱり何もないじゃん。

「お黙りなさい、集中できませんわ!」

クラスが静まり返る。
視線が私に集まっていることに気がつく。
どうやら私は席を立ち、かなり大きな声を出していたようだ。頬がみるみる熱くなっていく。
私は言ったことを後悔して逃げるように座る。
この後の質問攻めは地獄だった。
その他
公開:21/09/18 17:55

雪場知花

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