親愛なるナベワタ君へ

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何故、君はあの時、あんなに池の氷に拘ったのか?
今となっては凄く不思議に思える。
それしか見ていなかったよね。
ナベワタ君はどうしても、この池の氷上で、この靴でアイススケートをしたかったようだ。
「俺さ、ボートで池の中央のみんなが見える所まで行くからさ、クマ、見ててよね。」
とこの寒い2月の雪が降りそうな中、颯爽とボート乗り場へナベワタ君は向かった。
ちょうど、池と氷の境にナベワタ君は嬉しそうにボートを漕ぎながらやってきた。
「その辺は氷が薄いからやめた方がいいよ。」と私は忠告したが、聞く耳持たず、
「俺、体重軽いから大丈夫だよ。」
(って、そういうことじゃないだろう。)
ナベワタ君は少し僕の聞く耳を持ったのか、やや慎重に氷上へ向かった。
「・・・クマ、乗れたよ。」
と言ったのも束の間、バリバリバリと音を立てナベワタ君は僕の視界から消えた。
「プッ、(笑)だよね。(さらに笑)」
その他
公開:21/09/18 07:27

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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