クチオノスタイル

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大雪の降る中、彼はやってきた。
365日、半袖半ズボンのクチオノ君である。大きなこうもり傘をさしながら校舎の玄関に入ってきた。
「やあ、おはよう。」
と寒さを微塵も感じさせない彼には頭が下がる。
「流石に、この大雪の中、半袖半ズボンはないだろう。」
と言う僕の声に、待ってましたとばかりに彼は言葉を返す。
「365日、これがクチオノスタイルなんでね。」
ただ、目の前にはいつもと違う彼がいた。
彼はおっちょこちょいである。
膝下の白い薄汚れた靴下を今日は穿いていなかった。
「あれ、いつもの靴下どうしたの?」
と聞くと、「3人ローテで間に合わなくてさ。」
(何のローテ? 先発投手か?)
午前中、彼の厚い唇がいつもと違っていた。
給食前に彼の姿が無かった。
担任に聞くと、肺炎疑いで病院へ直行となった。
「クチオノがお前に、靴下は関係ないからって言っといてくれって言われたよ。」
(え、そこかよ。)
その他
公開:21/09/19 08:01

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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