兄者よ、待っていたぞ!

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私が死ぬと、天国の門の前で弟が待っていた。
「兄者よ、待っていたぞ!」
「おお、弟よ。なぜ成仏できずにお前はここで待っていたのだ?」
「ああ、兄者と焼肉を食べたくてな」
見れば焼肉の席が用意されている。
「おお、準備がいいな」
それから三日三晩、私の目の前で弟は美味そうに焼肉を食い続けた。
「んーたまらん!」
「弟よ、そろそろ俺にも一口くれないか?」
「何を言っている。兄者はいつも自分ばかり肉を食べて、弟の俺には一口も食わせてくれなかったではないか」
「弟よ、そこまでお前が恨んでいたとは知らなかった!この通りだ。俺にも一口くれないか?」
「ふむ、肉も食い飽きたな。兄者も食べるといい」
「おお、兄を許してくれるのか!」
「…美味いか?」
「美味い!」
弟はにっこり微笑んだ。
「弟よ、これでお前も成仏できそうか?」
「何を言っている?兄者よ、次はすき焼きの恨みを晴らすに決まっているだろう!!」
その他
公開:21/09/18 22:33

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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