名もなき花の話

話に花が咲く、という言葉がある。それはどんな花なのだろう？何て名の花なのだろう？
それが知りたくて、私は女子会に参加する。「私、聞き専だから」と言えば皆喜んで身の上話を始めてくれる。
私は喋り手をじっと観察する。その姿が真剣に聞いてくれていると受け取られ、相手はますます心を開いてくれる。それより話の花の蕾を開いて欲しい。
どう思う？と聞かれると、私は相手の表情と話から最適解を推測する。話を盛り上げる為には相手に同調するのが一番だ。
類は友を呼ぶ、なんて言葉がある。気が付けば、私の周りには私に良く似た感性を持つ友人が集まってきた。
恋の花に興味を持つ者。笑顔の花に興味を持つ者。私達は三者三様、見た事のない名もなき花に興味を持つ。
今日は高根の花が声をかけてきた。彼女から語られる話は一体どのような花を咲かせるだろう？
私達の目の輝きで、新しい花がまた一つ咲こうとしている。