彷徨う地図

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大きな地図を広げながら、あてもなく歩いている男がいた。
今、自分がこの地図のどこにいるのかわからないくせに“自分探し”の旅をしているという。
その男は目の前に大きな広場を見つけた。
そこは、一面ひまわりが咲き誇る広場だった。太陽に向かうひまわりは眩しかった。
このひまわりの前で、白い長袖のシャツを着た長身の男が立て看板を立てていた。
その男の横顔は、どこか見覚えのある顔だった。
その男に近づいていくと、私に気付いたのか、向こうから挨拶をしてくれた。
「やあ、こんにちは。その大きな地図を僕に見せてくれないか」
とさわやかな笑顔を私にくれた。
僕も「こんにちは」と返答し、この地図を男に手渡して立て看板に何が書いてあるのかを確かめた。
そこには、「僕の現在地」と書いてあった。男の方を見ると、もうそこには居なかった。今わかった。
さっきの男は、まぎれもなく前向きに生きようとしている自分だった。
ファンタジー
公開:21/09/16 07:14

ひまわり広場( 神奈川県川崎市 )

産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。

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