名もなき花の話

祖母の住む田舎には”名付けてはいけない花”が存在する。
この花に名前を付けると不幸な目に遭うらしい…いい事を聞いた。スマホで花を撮影する。
私は学校の嫌いな奴らに写真を見せては「この花に名前を付けて」と言って回った。祖母の言う事が本当だったらな…と願いを込めて。
後日、花に名前を付けた奴らが次々と不幸に遭い始める。
この花の効果は本物だ！確信した私は事ある毎に花の写真を使った。少しでも私の気分を害した奴を罰してやった。

今日のターゲットは隣の席の女子。宿題を写させてくれなかった罰だ。
「貴方の名前をつけたらどうかな？」
この花に私の名前？確かに向日葵や撫子など、名前に使われる花もある。逆転の発想か…まあいい。この子がどんな不幸に遭うか楽しみだ…
だが、待てど暮らせどその子に不幸は訪れない。むしろその日から不幸になったのは私だ。
こんな事になるんなら、名もなき花のままにしておくんだった…