ムーン・ワーカー

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人類の進歩は留まることなく、常に次代を切り開いてきた。人々は土地を巡り、山を越え、海を渡り、空を支配した。

宇宙への進出は、いわば約束された奇跡だった。夢が現実になると、月の土地はいくつかの巨大コングロマリットによって分割され、統治されるようになった。

我々はムーン・ワーカーだ。基本的な作業は地球からのリモート操作で行われるが、人間を使ったほうが効率のいい作業も残っている。合理性。

「子供が生まれたんだ」
嬉しそうにDは言うが、簡単には会えない。38万キロ。我々は労働者なのだ。あと4、5年は、ここで働かなければならない。

私たちは第7セクターの地下へと潜り、警告を発していた配線部の蓋を開いた。
黒焦げになった物体が、火花を散らすケーブルの間に挟まっていた。
「なんだこりゃ」
「ウインナーじゃないか?」
「まさか」

言いながら私は、妻が最後に作ってくれた弁当の中身を思い出していた。
SF
公開:21/09/14 19:00
更新:21/09/14 19:00

レオニード貴海( ほぼ東京 )

小説書きたい症候群に罹患したアラサーITエンジニア兼、二児のダディ。作家志望の人、活字好きな人とゆるーく繋がりたいようなこの頃。

noteをメインでしばらく書きます。
こちらにもたまに顔を出そうと思います。

今後ともよろしくお願いしまする。

ついったー
https://twitter.com/takamileovil

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