株式会社トーカイ

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「ガラガラガラ、ガッシャン」

今日も隣の株式会社トーカイが崩れ落ちたらしい。
大きな音を立て、建物の破片が道路にまで飛び散るから、隣に住む身としては迷惑だ。
窓からトーカイの方を眺めると、今日も3階立てのコンクリートビルが瓦礫の山になっていた。

崩れた瓦礫は磁石のようにズリズリと動き、勝手に再生しようとしている。
明日の朝にはまた何事もなかったかのように、直っているのだろう。そして、夜にまた崩れるのだ。

ある日の夕方、私はふと思いついて、ビルの一部を壊し、そのカケラを持って近くの里山に登った。
星が瞬く山頂でしばらく待つと、カケラはブルブル震え出した。

私はカケラを握った手を上に掲げる。
体は徐々に浮き始め、家の方にゆっくり向かっていく。

その後、夜の空中散歩がこの街で流行ったことは言うまでもない。
その他
公開:21/09/15 18:21

短太郎(たんたろう)

徒然と書いてゆく所存です。
3日に1話ぐらいの投稿ペース目指して頑張ろうと思っています。
文章練習兼ねていますので、厳しいお言葉から優しい褒め言葉まで、反応いただけると嬉しいです。

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