お袋の味

とある古物商から手に入れた一見ボロボロの頭陀袋。
なんでもこの袋、懐かしの味を再現してくれるらしい。
やり方は作ってほしい料理の材料と、料理を入れるお皿を入れてあとは待つだけ！

一晩たつとあら不思議。子供の頃食べた懐かしの料理が食卓にならんでいるってわけさ。

俺の友人なんてにんじんが嫌いなんであえて入れなかったら翌朝「にんじんもしっかり食べなさい！」とメモ書きがありカレーにどっさりにんじんが入っていたらしい。

じゃあ、俺の場合はどうなるんだろう。材料は…ひとまず冷蔵庫にあるものありったけで！
あとはどんな料理ができるか楽しみだ。

朝目が覚めると、目の前に出てきたのは単なるおかゆだった。しかも俺の味。
……そういえば、俺の母は病弱で代わりに俺が料理したんだっけ、そうしてお焦げだらけのおかゆを母は美味しそうに食べていた。

くそっ塩が効きすぎだ。薄味だったはずなんだがなあ。