乾電池一本の棺桶

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街で、ロボットが行方不明になった。

彼は、ガラクタでものづくりをするのが得意だった。

毎日ゴミ箱を漁っては、その場で組み立て、便利な道具に変えて、人々に還元していた。

当然街の人たちは、彼を愛していた。

どこから来たのかも、誰が造ったのかもわからなかったが、誰もそんな彼を恐れたり、軽蔑したりはしなかった。

だが一ヶ月も見つかってないため、住民たちは、仕方なく葬儀を行うことにした。

しかし写真も無く、行方不明なので、棺桶に入れられるものが無い。

そこで、街中のゴミ箱を全てあたり、捨てられていたものから持ち主不明のものを、入れることにした。

それが、乾電池一本。

棺桶を見た住民はあまりの虚しさに、彼から貰った道具を、各々で中に納めていった。

それから、約一週間。

彼はケロッとした様子で戻ってきた。

住民によると、その時の彼の身体は、お供えものだけで、造られていたと言う。
ファンタジー
公開:21/06/05 11:20

藤崎正(セカンドオニオン)

2021年2月に、物語を考えるのが好きで始めました。
もしよければ、コメント残して頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

追記:2021.11.14 名前を『藤崎正』(フジサキショウ)に改名しました。一応分かりずらいと思うので、旧名(セカンドオニオン)は、付け足しで残しておこうと思います。


物語.com https://monogatary.com/user_page/story/f73e9d0f-3f97-11ec-81c5-0242ac120002

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