室内プール

一人で室内プールで泳いでいた。普通の広さのプールだけれど、たった一人なので広く広く感じられた。スタート点から背泳でゆっくりと泳いだ。泳ぐうちに昨日のこと先月のことそれから去年のことが思い出される。自分の悪い行いが次々とはっきりと浮かんでくる。人との約束を破ったこと、嘘をついたこと、人を裏切ったこと。それらが身体からはみ出してプールに浮かぶ。藻やゴミのように浮いたものを後ろに流しながら泳いだ。端まで泳いで、立って振り返ると水面には自分の悪事が嫌な感じでめらめらと漂っている。そこをまた泳ぐのはやめたいと思っていると、コースロープが揺らめいている。よく見るとロープには有刺鉄線がついている。このコースをもう一度泳ぎ切らなければならないと思うと悲しかった。今度はクロールでバシャバシャと泳いだ。自分のこれまでの悪行が身体にまとわりついて手足に絡みつき、身体が重くなるのがわかった。ゴールは遠い。