品性のかけら

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 あるところに、乱暴な男がいた。

 彼は粗野な言葉を話し、動作は荒々しく、食事の時もテーブルに足を上げているような始末だった。

 そのため、誰もが彼を「品性のかけらもない男だ」と評したが、八百屋である私はそれは間違いであることを知っていた。

 なぜなら、彼はリンゴのことを「おリンゴ」と言う。

 たまに聞くその一言だけで、私は彼のことを「品性のかけらくらいはある男だな」と思っているのだ。
その他
公開:21/06/01 18:00

黒澤伊織( 日本 )

黒澤伊織といいます。2人組で小説を書いています。ショートショートは好きで、よく書いていますので投稿していこうと思います。ちょっと皮肉の効いた話とか、ダークめの話、また逆にお笑い系の話とかを作ります。よろしくお願いします!

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