盗む理由

なんで盗みを繰り返すのかって？そりゃ、盗みが俺の生き甲斐だからだよ。
小さい頃は勉強でもスポーツでも一番になりたかった。だから必死に勉強したし努力もした。
勉強のコツを成績優秀者から盗み、スポーツの技術を見て盗んだ。
その盗みは良い盗みだって親から教えられた。だから俺は人を観察し、盗み続けた。
だがな、いくら盗んでも勝てない奴ってのは絶対にいるんだ。だから俺はアプローチを変えた。
そいつの時間を盗む事にした。怪我をさせて、戦いの場に現れる事が出来ないようにした。
ある時それが行き過ぎちまって、俺は相手の命を奪っちまったんだ。その時気付いたね。俺が盗むべきものは人の命だったんだって。だから俺は殺人を認めない。俺はただ盗んだだけだ。

…と、話してくれた死刑囚の記憶を私は盗んだ。ありがとう。面白い話だった。小説のネタになる。
お礼に世間から君の記憶を盗んであげよう。死刑は免れないけどね。