持ち帰り専門店

癒しを求め、今日も仕事でクタクタになった体でレンタルキャット店に入る。今日はどの子をレンタルしようかな？
店内は猫と戯れる人でいっぱいだった。おいおい…ここはレンタルキャット店だぞ。じゃれ合いは持ち帰ってやれっての。
ん？店の隅に元気のない猫がいる。香箱を組んで動こうとしない。
「あの子、手だけを借りて行かれたんです」と店員。
猫を抱き上げてみる。この子には両手がなかった。
何てマナーの悪い客だ！私は怒りを感じるとともに今日はこの子を借りると決めた。
猫と店員は私を不安そうに見つめる。
大丈夫ですよ。両手がないって事は爪を立てられる心配がないって事です。今なら猫吸いもし放題です。その分、思いっきり手を焼いてあげるからな。
私の言葉に猫は嬉しそうに鳴いた。
翌日、猫の手だけ借りた客から「引っかかれるわ部屋を滅茶苦茶にされるわ大変だった。猫の手なんてもう二度と借りない！」と連絡があったそうだ。