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油蟬が鳴くころ、祖母の白玉が食べたくなる。
ずいぶん前に亡くなったから、もう食べることは出来ない。
両親が共働きで、私はお婆ちゃん子だった……

「ただいま〜」
「おかえり〜」
「ニャー」
お婆ちゃんと、クロの声が台所から聞こえた。
「何をこねてるの?」
「白玉粉」
「やった!」
「ニャー」
「耳を貸して」
お婆ちゃんは、私の耳たぶを抓んで、白玉の生地と固さを比べる。
「どう?」
「OK!同じ。あとは小さく丸めて湯掻いて、冷やしたら出来上がり。丸めるの手伝って」
「うん」
「ニャー」
冷たい白玉に、きなこと砂糖をたっぷり掛ける。
クロには、細かくした白玉に鰹節を乗せる。
「どうぞ」
「いただきま~す!うん、美味しい!!」
「クロはどう?」
「ニヤ!」

……食べたいなぁ。
私は自分の耳たぶを抓んでみた。

よし、作ってみよう!
その他
公開:21/06/02 14:35
更新:21/06/02 18:27

杉本とらを( 東京 )

言葉遊びが好きで、褒めらると伸びるタイプです。
良かったら読んでやって下さい!

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