ストーカー
0
1
コツコツコツ、コツコツコツ。
ああ、まただ。
ギュッと眉間にしわが寄る。
コツコツコツ、コツコツコツ。
またいつもの音、いつもの足音。
今度こそこの男に一泡吹かせてやらねば。
鞄に忍ばせた防犯ブザーをギュッと握りしめた。
コツコツコツ。——タッタッタッタ。
足音が早くなる、どんどん近づく。
やば。怖い。ブザー、鳴らさなきゃ。
あれ、これで合ってるんだっけ?これを引けば、ブザーが鳴るの?
いや、そんなこと考えてる暇はない。今はただ、この紐を引っ張ることに集中しろ。
エイっと意を込めてそれを握りしめた瞬間、肩をぐいっと後ろに引かれる感覚。
「やっぱ沙耶だ」
声をかけてきたのは親友の麻耶だった。
「……麻耶。おどかさないでよ」
「ごめんごめん。——あれ、それどうしたの?」
無垢に笑った麻耶の視線が沙耶の手元へ移る。
別に、と返すと後ろを振り返った。
暗闇の中で、何かが一瞬光ったような気がした。
ああ、まただ。
ギュッと眉間にしわが寄る。
コツコツコツ、コツコツコツ。
またいつもの音、いつもの足音。
今度こそこの男に一泡吹かせてやらねば。
鞄に忍ばせた防犯ブザーをギュッと握りしめた。
コツコツコツ。——タッタッタッタ。
足音が早くなる、どんどん近づく。
やば。怖い。ブザー、鳴らさなきゃ。
あれ、これで合ってるんだっけ?これを引けば、ブザーが鳴るの?
いや、そんなこと考えてる暇はない。今はただ、この紐を引っ張ることに集中しろ。
エイっと意を込めてそれを握りしめた瞬間、肩をぐいっと後ろに引かれる感覚。
「やっぱ沙耶だ」
声をかけてきたのは親友の麻耶だった。
「……麻耶。おどかさないでよ」
「ごめんごめん。——あれ、それどうしたの?」
無垢に笑った麻耶の視線が沙耶の手元へ移る。
別に、と返すと後ろを振り返った。
暗闇の中で、何かが一瞬光ったような気がした。
ホラー
公開:21/05/31 17:00
あったかくてせつない、もしくはせつなくてあったかいようなお話が好きです。
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます