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どうやら俺は死んでしまったようだ。
これまで感じていた体の重さ、苦しさがない。こんなに体が軽いのはいつぶりだろう?目の前の草原を思いっきり走ってみる。凄く気持ちがいい。俺はイエネコだった。危ないからと外を走る事を禁止されていた。
死は苦しみだけでなく、飼い主という呪縛からも俺を解き放ってくれた。
そんな俺に虹が話しかけてきた。
『飼い主に愛された猫よ。貴方は虹の橋の下で飼い主が来るのを待ちますか?』
虹の言葉に俺は首を横に振った。
『では天国に行きますか?虹の橋を渡った所に天国はありますよ』
俺はニヤリと笑うと虹の橋を猛然と駆け上がった。
そして虹の橋から地上を見下ろす。落ちないように気を付け青の部分に寝そべってカリカリを摘まみながら飼い主の様子を見てやった。
俺がいなくなって悲しんでいるな。ま、当然だろう。
だが安心しろ。猫は夜の化身だ。紫と青の中から俺は暫くの間、お前を見守っているぞ。
ファンタジー
公開:21/05/29 20:56

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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