養殖温泉

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小学校の帰りに買った温泉卵。温泉の有精卵だったみたいで手のひらで温めていると温泉が孵化した。
持って帰って両親に見せると父も母も困った顔をした。
「ウチの風呂じゃ育てられないな…」「そうね…掃除も大変だし…」
僕と稚温泉は震えた。「捨ててきなさい」って言われるんじゃないかと恐怖した。
「なら銭湯で育てればええ。山田んトコ、閉めてはいるが設備はまだ生きとるはずじゃ」
爺ちゃんが友達の山田さんに連絡してくれた。
僕は稚温泉を連れて、山田銭湯に走った。
「ちゃんと面倒見るなら、温泉を育ててもええぞ」
山田さんからも了解を得た。
僕はその日から毎日温泉の様子を見に行った。水質に水温、ボイラーを調節しながらきちんと育てた。掃除も忘れない。
小さかった温泉も20年経てば天然温泉と変わらぬ大きさとなり、人々を楽しませる。
僕はと言うと温泉の養殖に成功した第一人者として今、養殖温泉の繁殖に尽力している。
公開:21/05/30 20:47

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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