死ぬときの物語

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もうすぐ、私は死ぬ。
この死の床に、後悔は持ち込まないようにしよう。
悪くない一生だった。
…そう。
美術館が好きだった。
街にはバリアフリーの美術館があり、のびのびと美しい絵画や彫刻を眺めることができた。
といって人混みが嫌いなわけではなく、大きな祭りも好きだった。
熱気に気圧されて転びそうになりながら、それでも毎年見に行ったっけ。
旅も好きだった。
いつもと違う空気は、それだけで気持ちをリフレッシュさせてくれた。
花も好きだった。
夜空も好きだった。
そして優しい人にたくさん出会えて良かった。
地球に生まれて良かった。



回顧に耽っていると、微かな声が聞こえた。
「この車椅子、長いこと使ったねぇ」
「うん。もう古いから廃棄になるけど、ずっと体の一部みたいだった。魂も宿ってるんじゃないかと思うよ…」
その他
公開:21/05/30 12:57

ガラマイヤ( 日本 )

読んでくださりありがとうございます。
小学生の頃、「世界中の本をぜんぶ読んでしまったら退屈になるから、自分でお話を書けるようになりたいな」と思いました。
僭越ながら、子どもの頃の夢のまま、普段はショートショート作家を目指して、2000字くらいの公募に投稿しています。芽が出るといいな。
ここでは思いついたことをどんどん書いていこうと思います。
皆さまの作品とても楽しく拝読しています。毎日どなたかが更新されていて嬉しいですね。
よろしくお願いしますm(_ _)m
*2020.2〜育児のため更新や返信が遅れておりますが、そんな中でもお読みくださり、コメントくださり本当にありがとうございます!

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