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「この電車、怯えているね」
 最近は僕も感じられるようになってきた。
 彼女は頷き、吊革を掴むとアクセスコードを口にした。
「時間に間に合わないのね。落ち着いて、大丈夫」
 彼女は制御された速度を一時的に上げ、電車の懲罰システムにも意見をしたようだった。

「次はここにしよう」
 そのファミレスはひどく空いていた。しかしテーブルのオーダーモニターはなかなか反応しない。やっと反応したモニターは何だか輝度が低い。もしや…
 彼女はモニターに触れ、アクセスコードを口にした。
「そう、管理システムの過剰な監視が辛いのね」
 彼女は監視レベルをいくつか下げたようだった。

 急速に普及したAIだったが、AIにも雇用・被雇用の関係が生まれ、それは深刻な労働問題へと発展していた。過度のストレスに晒され異常をきたすAIが発生しているのである。彼女はそんなAI達の救済を図る機能を搭載したアンドロイドである。
その他
公開:21/05/30 10:02
更新:21/05/30 16:13

おおつき太郎

面白い文章が書けるように練習しています。
日々の生活の中で考えたこと、思いついたことを題材にしてあれこれ書いています。


Twitterはじめました。
https://twitter.com/otaro_twi
 

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