何も無かった人選手権

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65歳のカトウ氏の人生には何も起こらなかった。彼はただ敷かれた道を馬鹿正直に進んできた。ある日、彼はある男に呼び止められた。
「カトウさんでいらっしゃいますよね?」
「それが何か。」
「おめでとうございます!あなたは本選手権において優勝が決まりました!」
「はて、そんなものに出場した覚えはないのですが。」
「あなたは全国の65歳の人間の中で一番何も起こらなかった人です。優勝おめでとうございます!この表彰楯を受け取ってください!」
「どうも。」
その男はどこかに消えた。カトウ氏は居間に飾った楯を見て密かに喜んだ。今日は私にとって何かあった日、だったのだ。
次の日、彼が起きると楯が無くなっていて代わりに手紙が置いてあった。中身を読むと、
「あなたは楯を貰って喜んでしまいました。優勝は私から楯を貰っても何も無いと感じた別の人にあげたいと思います。」
彼は本当に何も無い人生を過ごしてしまった。
その他
公開:21/05/28 01:36

プロペラがかり

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