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「戦下において武器は持たず敵意は無い事を相手に示したのが握手の起源です」
博士は将校らを見回し右手をかざした。
「その握手を逆手にとって開発された挨拶兵器がこの『悪手』です」
会議室にどよめきが起こる。
「素手に見えるが?」
「詳細は極秘ですが見た目は素手と変わりません。悪手モードで握手した相手を数日かけて死に至らしめます。戦闘向きではありませんが可能性は無限です」
「握手した人間は見境なく死ぬのか?」
「訓練により握手と悪手、切替が可能です」
差し出された右手に誰も触れようとはしない。
「シェイクハンターを養成するプログラムも出来ております」
どよめきは変わらず博士は眉をかしげた。
「…非常に画期的だ。開発期間はどれくらいだ?」
「えー、10年です。開発室に閉じこもり全てを捧げました」
「知らんのか?この数年の世界情勢を」
「…といいますと?」

「無くなりそうなのだよ。握手そのものが」
SF
公開:21/05/28 06:00

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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