早く消えて

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「わたし、あなたのこと嫌いなの」
君はそう言って笑った。
僕も笑った。
「俺、お前のこと嫌いだわ」
君は笑った。
二人で笑い合うと、世界がぬくもりで包まれた気がした。

遠くに聞こえる銃撃は、今日も楽しそうに合唱する。
その音を聴きながら、僕と彼女はまた、ふふふと笑った。
彼女の顔は酒でほんのり赤らんで、とても悲しかった。

ぽってりと膨らんだ唇が弧を描くと、また口を開く。
「だから、早くいなくなってよ」
「それはお前の方だ。お前がいなくなってしまえばいい」
そしてまた、二人で笑った。
二人で笑うと、世界が愛で包まれるような気がした。
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公開:21/05/28 12:00

ratys

あったかくてせつない、もしくはせつなくてあったかいようなお話が好きです。

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