都会の電車

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都会の電車は静かだ。
まあまあ混んでいる車内は、スマホやパソコンを覗く人。本や書類を読む人。お喋りも小さな声でしている。
けれど、この時は違った。
静かに人が降り、静かに人が乗り込み、扉が閉まる寸前にパンパンのエコバッグを両手に持ち、大きなリュックを背負った女性が、汗だらだらで乗り込んで来て大きな声で言った。

「ぶは〜間に合ったわ!」

電車が動き出す。
女性は、大きな溜息をついて、タオルで顔の汗を拭った。

「アッ、そこ空いてるじゃないの!座ります!ちょっと詰めて!悪いわね!」

そう大きな声で言って、女性は大きなお尻をドカリと収めた。
また、大きな溜息をついて、窓を流れる街並みを眺めながら汗を拭う。

「あら?あら?あらまー!ヤダ!ヤダ!この電車逆に走ってるわ!!ダメダメ!」

女性は、吹き出す汗を拭いながら次の駅で降り、扉が閉まり電車が動き出す。

都会の電車に静けさが戻った。
その他
公開:21/05/27 08:31

杉本とらを( 東京 )

言葉遊びが好きで、褒めらると伸びるタイプです。
良かったら読んでやって下さい!

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