マンスリー性欲

中学生時代に気が狂いそうな性欲で苦しんだ僕は、血迷った挙句、オカルト雑誌の黒魔術特集を適当に応用して「性欲封じ」の儀式を行った。以来、僕は月に1度、満月の夜にしか性欲が感じられなくなった。
お陰でいつも冷静で居ることができたが、男友達とは話題が合わず、変態扱いだった。しかしめげずに青春時代を生き抜き、社会人となった。ギラギラした性欲のない僕を「落ち着いている」と気に入ってくれた人と結婚し、家庭を持つこともできた。

ただ、どういうことか40代を過ぎてから、性欲が異常に高まってきた。行き場のない僕の性欲は、最初は自慰、次は風俗、最近は出会い系の人妻で発散していた。それでもどうしようもなくなってしまい、僕は新たに儀式を執り行った。
不妊治療などで困っている人に性欲を提供するのだ。

少子化防止に貢献した満足感はあるが、
知らない男女の情事の記憶が、いつの間にか僕の頭に流入してくるようになった。