北限まで

6
6

「北限まで突っ走れ」の指示で俺は妻と高速道路をひたすら走った。サービスエリアに入ると男女が待っている。二人を乗せる。彼らも夫婦とか。「北限までですね」女が聞いた。「ええ、できるだけ早く」「追いつかれる」男が言った。俺の妻が「ユニットで?それともサブユニット?」と聞くと男が「もちろんサブユニットです」「わからないじゃないの。追手がサブユニットだなんて」女が高い声をあげた。「可能性はあります」俺が言うと彼らは黙った。やがて高速の出口が見えた。「ここですね」男が言う。俺は言った「彼らの生息が途絶える北限です。ユニットかサブユニットかは別として」俺の妻が「でもそれって本当?信憑性は?」「今さら仕方ないですよ、奥さん」「そうよ。信じてここまで来たんじゃない」夫婦が同時に言う。下の道には沼があり、車を停めた。俺たち四人は車を降りる。オシドリの群れが沼にいっぱいだ。オシドリたちががあがあと鳴いた。
その他
公開:21/05/25 16:24

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容