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昔から海にまつわる話は不幸な結末や悲恋が多い。だからこの恋のことを思い出すと、波の音が聞こえるような気がする。
人混みの間を泳ぐように通り抜けた後に、まるで水槽の中みたいだ、と思った。ぞろぞろと勢いよく流れるように進む人の群れは、水族館の魚群と似ている。
私が彼と知り合ったのはその半年前だったが、実際に会えばそれが最後になるだろうということは何となくわかっていた。万が一の可能性に賭けたかったが、おそらくダメだろう。
待ち合わせ場所への道のりはまるで現実感がなく、ただクラゲのようにふわふわと漂っていた。夢みたい、というような多幸感によるものではなく、これから来る終わりの瞬間を感じてぼんやりしていた。
ただ寂しく静かで美しい、私の心の中の深海(うみ)の景色が雑踏に重なって見える。視界がにじみ、イルミネーションがぼやけて煌いた。もうすぐ夢が終わる。覚悟を決めてまた一歩踏み出した。
人混みの間を泳ぐように通り抜けた後に、まるで水槽の中みたいだ、と思った。ぞろぞろと勢いよく流れるように進む人の群れは、水族館の魚群と似ている。
私が彼と知り合ったのはその半年前だったが、実際に会えばそれが最後になるだろうということは何となくわかっていた。万が一の可能性に賭けたかったが、おそらくダメだろう。
待ち合わせ場所への道のりはまるで現実感がなく、ただクラゲのようにふわふわと漂っていた。夢みたい、というような多幸感によるものではなく、これから来る終わりの瞬間を感じてぼんやりしていた。
ただ寂しく静かで美しい、私の心の中の深海(うみ)の景色が雑踏に重なって見える。視界がにじみ、イルミネーションがぼやけて煌いた。もうすぐ夢が終わる。覚悟を決めてまた一歩踏み出した。
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公開:21/05/24 23:45
更新:21/05/25 20:57
更新:21/05/25 20:57
素人です
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