土地の独り言

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向かいの古い家が遂に解体された。
不動産屋が、顧客らしき人に見せていたが築年数が多く、リフォームは諦め結局解体して、新築する事に決まった様だ。
解体屋が最初に、タオルを持って近所に挨拶に来た。ユンボや削岩機を使って凄い音を立てながら、コンクリートも壁も崩れアット言う間に一掃された。

更地になると意外に広いな~と眺めていたら、どこからか声が聞こえてきた。
「ああ~今まで何十年も重かったなあ」と、独り言を言っているのは、家屋が乗っていた土地の様だ。その後花畑になっていた庭の方の土地に対して、「君は綺麗で、しかも家と違って軽いし楽してたな~」とじみじみ言った。

花畑が「今度の新しい家の図面を観てないけど、私の方に家が立つかもしれない、君は何十年もの長い間頑張って来たのだから、骨休みを兼ね温泉旅行でも楽しんできて下さい。留守番は私がしますから」と言った。
シーンとなり、直後砂塵が舞い上がった。
ファンタジー
公開:21/05/24 18:09

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