Cafe＆Bar Suicide

いらっしゃいませ。

ご注文は何になさいますか。ホット珈琲を。かしこまりました。

お客様、失礼ですが珈琲は今日で何杯目ですか。……ほう、一二杯目。それにカフェイン剤まで。それはそれは、準備万端ですね。

そうですか、おすすめの珈琲をご用意しましょう。

その前に、私の妻の話をしてもよろしいですか。私の妻は服毒自殺で亡くなりました。だからね、私は死んだままの妻のことも、死そのものも愛する事にしたのです。エンバーミングをご存知ですか。それを妻に施して頂いたのです。彼女のその美しさと言ったら、生前と変わらない。そして思ったんです。店の裏手にいる妻は、人は、老いても朽ちても、美しいのです。私はですね、これこそ終わらない愛だと思うのですよ。

さて、お待たせいたしました、珈琲でございます。
これはですね。
お客様……お客様。

あら、もう眠くなってしまいましたか。
いってらっしゃい。お気をつけて。