風のオムツ

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「あぁ。その眼の濁りが悲しいよ。為政者たちは心を冷ます台詞と記号みたいな表情ばかり。ささやかな水たまりを革靴で踏み荒らしておきながらそれを海に変えると息巻いて演説はプラごみみたいな音の羅列。大人のウィットはどこ?未来の詩を知らないの?愉しむことと厳しさから逃げないでほしい。たとえばビルの屋上で涙に暮れる少女に語りかけるときの繊細で正直な姿勢や、大好きなあのひとを帰したくないっていうあの甘い夜の情熱をどうして日々の言葉に込めないの。勇むだけのポーズなどやめて刃の重みを誠実に恐れてほしいよ。新生児室を卒業するにあたり皆さんへの言葉は以上です。また会いましょう。そして熱く生きましょう」
ウン・グラオプリヒウインド。
それは新生児が肛門で言葉を話す奇怪な自然現象で、人間とカピバラだけに起こる。母親はつい子育てを放棄しがちだが、そこにこどもの意思はなく、あくまでも風。
私は今日も風のオムツを替える。
公開:21/05/23 11:24

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