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「立派な人になりなさい」と両親は私を厳しく躾けた。
幼い頃から私に自由なんて一つもなかった。親の決めた習い事、親の決めた休日の過ごし方、親の決めた友人、親の決めた食べ物…全て私の意志とは関係なく決められてしまう。
そんな私は注文の多い料理店を読んで思った。ああ…自由のない人生なら主に食われてしまいたい。もしくは山猫軒のように飛んで消える事が出来れば…そんな事を思いながら、格子窓の外を眺める。綺麗な満月だ…
その満月に虹がかかっているのに気づいた。その虹が私の元へとやってくる。青白い光が格子窓を切り裂いた。
美しい猫がまるでついて来いと言わんばかりに私を見る。窓から身を乗り出した私は虹の橋を走った。
夜の暗い闇が月光に照らされ青く見える。自由を手に入れた私は夜の虹の上を駆け抜けた。振り向けば帰り道はない。元より戻る気はない。
走れ。走れ。走れ。私は夜色の猫となり、青を駆ける一匹の獣となった。
ファンタジー
公開:21/05/22 19:32
月虹(げっこう) 月光(げっこう)

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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