026.暴投

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 ブルータ・ムルージュは、種族差別を忌避しているが、差別も価値観のひとつ-外に向いた個性として認識しており、必要以上の他種族との接触は避けてきた。
 しかし、熱狂的ファンである陸上選手ティーガーの地元凱旋は外すわけにはいかず、越州バスでバリウェート州を目指した。先の指針もあり、地元の州を出ることは滅多になく、バリウェートがある世界の外側方面に向かうのも初めてだった。
「あれが大暴投だ」
「すげぇ」
 後ろに座る同じ爬虫亜種の親子が、外を見てはしゃいでいた。釣られて同じ方を見ると、荒野に見上げる程に巨大な鉄屑が突き刺さっていた。
 大暴投。
 最外州で行われる不法投棄の祭典"グランドダンプ"での事故によって飛んできた砲弾の破片だ。こんな大惨事がありながらも、祭りは変わらずに続いている。
 ポイ捨てにここまで熱くなれるものなのか?と、ブルータは疑問に思いながら、放置されたゴミから視線を外した。
ファンタジー
公開:21/05/22 09:50
ファンタジー 荒野 バス ゴミ

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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