こびとの僕

「ゆうくん、起きてる〜？あれ、どこに行ったの？」
朝、ママが起こしに来た。
「ここだよ！」
机の上で必死に手を振る。
「まぁ！こんなに小さくなってどうしたの？」
昨日の夜、学校に行きたくなくてママと一緒にいられるよう神様にお願いした。
「ママ！これで一緒にお出かけできるよ」
ママは胸ポケットに僕を入れてお仕事に連れて行ってくれた。
「いい子にしてたらジュース買ってあげる」

夕方、やっと帰れそう。
「ちゃんと大人しくできたね、えらいよ！自販機でジュース買おうか！」
嬉しくて、ついついポケットから身を乗り出しちゃった。うっかりしてた‥
「うわぁぁぁぁ！！！」
自販機の下の網に吸い込まれた。
ママの驚いた顔、そびえ立つ自販機、下から登る悪臭。暗くなってきた‥
「ハッ！！」
よかった悪い夢を見ていたみたい。
ママが部屋に近づく音がする。
「ゆうくん、起きてる〜？あれ、どこに行ったの‥？」