紫陽花スープ

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私の前に置かれたスープ皿に、静かに白いスープが注がれる。最後にマスターがパセリを一振りすると、スープの色が変わった。

「今日もブルーですね。何かありましたか?」
「はい、つまらないことでミスして…凹んでます。」
「大丈夫ですよ。」
マスターが微笑みながら白い粉をひとつまみ、スープに入れた。うっすらとピンク色の、美しい色に変化するスープ。

美味しい。なんだか、元気が出てきたみたい。

「マスター、いつもありがとう」
お礼を言って、お店を後にした。この「紫陽花スープ」を飲むと、いつも元気になれる。
***
パセリのように見えるのは、アントシアニンを含むマロウブルーというハーブ。最後に入れるのはレモンの粉。アントシアニンは酸性のものを入れると青から紫、ピンクへと変わる。

え、詐欺みたいだって?ちょっとした工夫で、お客さんの元気を引き出してるだけだよ。
ほら、病は気からっていうじゃないか。
その他
公開:21/05/24 08:01

花奈

本を読むことが大好き。本屋を開きたい。

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