居酒屋で狼男と相席した話

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偶々入った居酒屋で狼男が一人、つまらなそうに飲んでいた。
その風貌だ。怖がって誰も近づかない。俺は狼男に相席を申し入れた。
破顔する狼男。一緒に酒を飲むと予想以上に楽しかった。
俺と狼男は気が合った。趣味や食の好みや生活スタイルさえも一致した。こんなに楽しい酒は久しぶりだ。
だから閉店後も別れが惜しくなった。
「俺の家、近くだから飲み直さないか?」
「送り狼になっちゃうぞ~」
それにゲラゲラと笑い、二人肩組んで赤ずきんより真っ赤な顔で家路につく。
途中コンビニで酒を買い込んでは「今夜は飲み明かすぞ!」「おー!」と満月に吠えた。

翌朝、重たい頭で目を覚ます。
目の前のテーブルに見知らぬ女性が突っ伏していた。
女性も目を覚ます。俺に苦笑いを浮かべる。
「女狼男は満月の夜、男になるんだ」
女性に運命を感じた俺はそんな事は関係ないとばかりにまだ残る酒の酔いの勢いで言った。
「俺と結婚して下さい」
ファンタジー
公開:21/05/23 20:56

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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