引き換え

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ある老婆の孫が病で死の淵にいた。
息も絶え絶えの孫を前に老婆は一心に神に祈った。
「せめて私の命が尽きるまで、この子の命を長らえさせてください」
すると神が答えた。
『おまえは年寄りだ。おまえの命が尽きるまで生きても、この子どもが短命であることに変わりはないぞ』
「それでは、私の命と引き換えに、この子をお助けください」
『だから。放っておいてもおまえはもうすぐ命が尽きるのだ。引き換えにする価値はないということだ』
「それでは、何とならこの子の命を交換していただけましょう?」
『おまえは何も分かっていない。なぜ私に交換条件を出すのか?私はそんな非道な条件を出したのか?ただ素直に祈ってみようと、なぜ思わないのか?もう一度、よく考えて見るがいい。このことはおまえに答えが分かるまで止めておく』
以来、老婆は日々神に祈り考えました。孫とその父母も祈り考えました。そうして信心深くして長く生きました。
その他
公開:21/05/21 15:27
#ショートショート #短編小説 #寓話 #黒衣聖母

N(えぬ)( 横浜市 )

読んでいただきありがとうございます。(・ω・)/
ここに投稿する以外にも、自分のブログに同時掲載しているときがあります。

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