優しい人

電車が動く度にジュースの空缶が、コラコロと音を立てて、あっちに転がり、こっちに転がっていた。
誰もが見て見ぬ振りをして居たが、年配の女性が空缶を拾い上げた。
周りの乗客が慌てて、その女性から離れ、怯えた表情で座り込んだ。
女性は、それを気にせずに空缶を立てた。
すると“カチ”音がしたかと思った瞬間、その女性と近くに居た乗客５、６人が爆音とともに吹き飛ばされ、辺りは血の海になった。
直ぐに電車は止まり、救急車がやって来たが、死者６人、重軽傷者１５人の大惨事となった。
反乱軍のテロは、日増しに激化していった。