グランドダンプについて話そう

　南大陸国には、果ての世界と呼ばれる超広大な砂漠がある。
　以前は、開拓者精神に燃える者たち－通称グランディスの挑戦の地であったが、熟練開拓者の一人エンジュルが最高到達地点更新＜9000distan＞を成し遂げた頃には、その熱狂は完全に委縮していた。
　果てまで価値のない不毛の地と断じられた果ての世界はその後、超広大なゴミ捨て場として活用されることになる。
　それが、グランドダンプである。
　年に一度、果ての世界に接する４つの州に建造された超巨大大砲から、特殊な砲弾が撃ちだされる。
　それは、南大陸国全土から集められた一年分の産業廃棄物を凝縮させたものであり、それを果ての世界に向けて盛大に不法投棄する一大イベントである。
　その超弩級規模の祭典は瞬く間に大陸中で話題となり、一部環境保護団体の抗議も虚しく、各州での廃棄物処理の杜撰化や、国民の環境保全に対する意識低下の影響を及ぼしている。