カルト虫

0
2

「カルト虫も知らないのかよ」
休み時間、クラスの子にそう言われた。
僕は恥ずかしくなって、机に視線を落とす。
すると、他の子も集まってきた。
「みんな飼ってるぞ、カルト虫なんて」
「どうして知らないの?」
僕はそれが何かも聞けずに、ただ黙って、ひたすら時間が過ぎるのを待った。

その日の夜。
カルト虫について、思いきって父に聞いてみた。
「カブト虫のことだろ?」
と言われた。
違うと思う、と僕は言った。
「どんな虫なんだよ」と父は苛立って言った。
わからない、でも欲しいんだ。僕はぶっきらぼうに言った。
話にならないと、父はどこかに消えた。
僕はもう、カルト虫なんてどうでもいいと思った。

そして眠って目を覚ますと、僕はどこかの樹木にしがみついて樹木を吸っていた。
ファンタジー
公開:21/05/22 00:41
更新:21/05/23 20:20

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容